未解明だった数学の超難問「abc予想」を証明することに成功し「abc定理」へと進化させた、数学界に革命をもたらした京大の望月新一教授。
望月新一教授は、5歳のときに父親の仕事の関係で渡米し、16歳で米プリンストン大に飛び級入学しました。
「abc予想」とは、素因数分解と足し算引き算との相関関係の証明を示し、素因数分解の結果から正の約数などを証明することができたということです。
査読(学術雑誌などで、寄せられた原稿を編集者側でまず読み、誤りの有無や掲載の適否について判断意見を出すこと。)に約8年かかったという「abc予想」と望月新一教授についてみていきましょう。
そこで今回は、現代数学で最重要の難問「abc予想」を証明した望月新一教授について、
- 望月新一教授(京大)のabc予想はリーマン予想を証明する糸口となる?
- 望月新一教授(京大)のabc予想に対する海外の反応は?
- 望月新一教授の論文
- 望月新一教授の研究内容
という内容でご紹介していきたいと思います。
望月新一教授のプロフィール関連の記事はこちら↓
望月新一教授(京大)は天才だけど偏差値はいくつ?両親は日本人?ハーフ?プロフィールや経歴も調べてみた!
目次
望月新一教授(京大)のabc予想はリーマン予想を証明する糸口となる?
別名「オスターリ・マッサー予想」と呼ばれ、フランスのパリ第4大学のジョゼフ・オスターリ博士(1954-)とスイスのバーゼル大学のデイヴィッド・マッサー教授(1948-)が1980年代に発表した予想です。
これはどのような予想なのでしょうか。いくつか表現方法がありますが、そのうちの一つは次のようなものです。
正の整数AとBの和をCとします。つまり、
A+B=C
です。正の整数は、素数のべきの積に「素因数分解」することができます。たとえば15ならば、
15=3×5
4ならば、
4=2^2
という具合です。AとBは、このような素因数分解をほどこした時、共通の素因数をもたないように選んでおきます。たとえば、
A=4、B=15
という組み合わせです。このような、共通の素因数をもたないAとBは「たがいに素」だといいますが、べつに覚えなくてもさしつかえありません。一方、たとえば、
A=4、B=6
という組み合わせは、共通の素因数2をもつので、今回の考察の対象外です。
次に、そうやって選んだAとBと、その和Cを、かけ合わせ、素因数分解します。
A×B×C=4×15×19=(2^2)×3×5×19
さらに、素因数分解の結果から、異なる素因数だけを拾ってかけ合わせて、新たな数Dを作ります。つまり、べき乗は1乗に変えます。
(2^2)×3×5×19 → 2×3×5×19=570=D
DはA×B×Cの「根基(こんき)」と呼ばれますが、やはり覚えなくてもさしつかえありません。
この時、「たいていの場合、DはCよりも大きくなるだろう」というのがABC予想です。
「たいていの場合」というのをもっと厳密に表現すると、
「ある正の実数εについて、 C>D^(1+ε)を満たすCは有限個しか存在しないだろう」
となります。
ABC予想は、言い換えると、
「たがいに素な整数AとBをたして A+B=C を作ると、Cには、AにもBにも含まれない新しい素因数がいくつも含まれるだろう」という予想です。
そういう場合はたいてい、D>Cが成り立ちます。
引用元:幻冬舎plus
世界の数学者が35年間未解決で、世界中の数学者が挑戦して今まで解くことができなかった難問「ABC予想」。
リーマン予想を証明する糸口に関しては17世紀に考案され、証明されるまで350年以上かかった「フェルマーの最終定理」が最も有名です。最近になって証明された「ポアンカレ予想」もありますが、「リーマン予想」を解決する糸口にはなりませんでした。
リーマン予想とは「素数の並び方の法則性を知る」ことなのですが、素数とは、1とそれ自身以外に約数を持たない自然数を指します。160年前から数学界の難関とされ、まだ証明されていません。
数字をランダムに選んでも、2、3、5、7、9‥と素数の分布は不規則に見えます。
素数の分布が、リーマンゼータ関数と呼ばれる解析関数の値を零とする変数と密接に関係していることを数学的に表現すると、「リーマンゼータ関数の非自明な全ての零点に対応する変数が、1/2の実数部を持つこと」がリーマン予想と呼ばれています。
「ABC予想」の証明は整数論の発展に寄与するといわれているので、今まで数学界から見放されていたリーマン予想を証明する糸口になることでしょう。
記事引用元:https://www.sanspo.com/geino/news/20200404/sot20040405020006-n2.html
「ABC予想」についてわかりやすくまとめられたYouTube動画を見つけましたのでご紹介します。↓
望月新一教授(京大)のabc予想に対する海外の反応は?
望月新一教授(京大)のabc予想に対する海外の反応をまとめてみました!
「abc予想」のような超難問を証明したという声があった場合、その証明が本当に正しいのかをチェックする作業「査読」が行われます。
学術雑誌などで、寄せられた原稿を編集者側でまず読み、誤りの有無や掲載の適否について判断意見を出すこと。
望月新一教授の論文は、「宇宙際タイヒミュラー理論」とともに証明されましたが、極めて難解だったため「査読」に約8年かかりました。
議論の中で、ドイツの著名な数学者のピーター・ショルツ教授が「この証明に欠陥がある」という否定をし、望月新一教授と議論をしますが話は平行線のままでした。
議論の後に望月新一教授はショルツ教授が「深刻な誤解をしている」とお互い全否定状態で、端からみるとどちらが正しいのか分からないような状態だったようです。
否定的な反応があるのは、それだけ「abc予想」が長年なかなか誰にも成し遂げられなかった偉業であるという裏付けなのかもしれません。
記事引用元:https://joholinear.com/abc-conjecture-info/#i-3
望月新一教授の論文
望月新一教授の論文について、代表的なものをいくつかご紹介します。
望月新一教授は、多くの論文を発表しています。
「数論幾何一般」と「遠アーベル幾何学」が専門なため、この分野の論文が多くなっています。
- p 進的手法によるグロタンディークの遠アーベル幾何予想の解決など双曲的代数曲線の数 論幾何学に関する研究(1997年)
- 宇宙際タイヒミューラー(英語版)理論の検証(2012年)
- ABC予想(2012年)
などが上げられます。
もはや一般人には何を書いているのかさえ分かりません。
記事参考元:http://mathsoc.jp/publication/tushin/1001/tamagawa.pdf
望月新一教授の研究内容
望月新一教授の研究内容について、いくつかご紹介します。
- p 進的な手法によるグロタンディークの遠アーベル幾何予想の解決など双曲的代数曲線の 数論幾何に関する研究
- p進タイヒミュラー理論(英語版)の構築
- 遠アーベル幾何
- 楕円曲線のホッジ・アラケロフ理論の構築
- 曲線のモジュライ空間の既約性の別証明、数論的小平・スペンサーの変形理論(英語版)
- Hurwitz スキームのコンパクト化、crys-stable bundle の構成、数論的 log Scheme 圏論的 表示の構成、宇宙際幾何 (うちゅうさいきか、inter-universal geometry) の構築。
本も出版しており、著作に 「Foundations of p-adic Teichmüller Theory 」があります。
記事参考元:http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/list/mochizuki.html
望月新一教授(京大)のabc予想まとめ
今回は、現代数学で最重要の難問「abc予想」を証明した望月新一教授について、
- 望月新一教授(京大)のabc予想はリーマン予想を証明する糸口となる?
- 望月新一教授(京大)のabc予想に対する海外の反応は?
- 望月新一教授の論文
- 望月新一教授の研究内容
という内容でご紹介しました。
「abc予想」の解決は、数学界に革命をもたらすほどのインパクトを与え、abc予想に詳しい加藤文元教授は世界の大偉業と絶賛しています。
「abc予想」が証明され「定理」へと進化させた望月新一教授の功績は偉大ですね。
一般の人たちも「abc予想」の式、A+B=Cに適当な数字を当てはめて計算してみる、数字の面白さ、深さを再発見して思わず熱くなってしまうことでしょう。
「巣ごもり、自粛」で外出できない今、鉛筆とノート片手に計算を楽しんでみるのもよいかもしれません♪
最後までお読みくださり、ありがとうございます。