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転職や再就職等で、意外に見過ごされているのが、通勤について具体的な指標を持ってないことです。どんなに好条件、高待遇の職場だとしても、労働以外の移動時間は、法的には拘束時間であっても、労働時間には含まれていないからです。今回は、この通勤時間について考える、また通勤時間は本当にゼロが良いのかどうかも、解説します。





どうして通勤ラッシュが起こるのか?

日本独特の文化とも言える朝の風景、駅のホームの通勤ラッシュですが、特徴として最近言えるのが都心部に職場がある場合で、都心に自宅がある場合は、この負担は極めて軽いといいうのがあります。

東京都心に職場を持つ、首都圏在住の人々の平均通勤時間は公的な調査で、「片道39分、往復1時間19分」です。神奈川から東京へは約1時間45分、千葉からでは1時間42分、埼玉からでは1時間36分と、やはり往復には1時間圏内とはなっていません。

この1時間オーバーとなる要因は、間違いなく都心部の地価高騰による、都心部周辺への居住を求めた労働者、世帯の収入が都心部住人よりも高くないことがあげられます。

加えて一旦労働環境を選ぶと、確固たる理由がなければ、転職は景気に左右されやすいので、容易ではないため、この混雑は恒常的負担となっているわけです。



しかしながら、テレワークの普及は少ないのはなぜ?

雪が降る街

1.どこまでが労災になるのかの線引きが難しい
2.その仕事の秘匿性を確保、把握が難しい

日本において、テレワークが進まない大きな要因の2つが以上と言われています。これは日本テレワーク協会が、20~69歳の就業者を対象として2015年に行った調査によるので、今現在では多少違っていることは考慮に入れるべきです。しかしこの当時ですら、在宅勤務をしたいと回答した人の割合は59.1%と半数を超えているので、通勤は仕方ないからしているという労働者の心理は確実にあると言えます。

3.社員・グループのコミュニケーションが難しい

これは会社の労務管理と同義ですが、やはり遠隔では個々の労働管理は自己申告や成果物の提出、レポートや報告義務などで行われるので、このシステム構築の課題も山積しています。従い、「通勤時間を限りなくゼロにする」というのは、IT及び、技術的に社会がデジタル社会に切り替わるまでの間は、通勤時間の短縮の工夫が、結果的に労働者のモチベーション、労働負荷等と直結しているといえるでしょう。



極めて短い通勤時間のデメリット

以上の解説から逆算して考えれば、生産性向上には労働時間を有効に使う意味でも、本当は通勤時間は課題をクリアできれば、労働者の希望と合致できるはずです。しかしながら、経験として通勤時間約5分という労働経験を持つ側の意見として、必ずしもそれは良い結果に結びつかない場合もあります。

1.気持ちの切り替えが容易ではない
2.プライベートの行動範囲が狭まる可能性が高い

1はなんとなく理解できると思いますが、2の件はなかなか理解しづらいと思います。通常、通勤に関して多くの会社はその費用を負担します。一方、その負担によって公共交通を利用しようとする時、朝はともなく、退社以降の帰宅時間はそれぞれ自由なのが普通です。

例えば都心部ではオフィス街を中心に繁華街が形成され、その殆どは夕方以降を想定した来客向けに経営をしています。これは逆に、多くの平日の顧客は夕方から夜間に集中して、経済が動いているということです。

通勤時間が私の様に自宅から5分となる場合は、働く意味では非常に高効率で動きやすいです。しかし、一方、こうした夕方から夜間の自由時間の行動に関しては、その領域も狭く、娯楽も買い物も、より高品質や寄り優れた体験を求める時、移動コストはその分上がるのです。

働くというのは、一方で自分の生活をプライベートも含めて、充実させる事を目的にしているので、この移動制限は出費を必要とすることになります。これは少なからず「1.」にも影響を与えるのです。



仕事とプライベートを遮断できる隔離施設が必要

パソコン

以上のような、制限やコスト負担を軽減して自由時間を充実させる意味では、ある程度の通勤時間は、1時間弱でも許容できるわけです。ではこの私生活における行動を考えると、いくつかの条件があればなお良いということになります。この条件とは、日々の生活基盤で仕事やプライベート空間、そのどちらもが、いつでも切り替えられる環境を準備するということです。

条件1.日常を過ごす部屋と隔離できる空間を切り分けておく
条件2.デジタル通話環境、ネット環境を強化しておく
条件3.食事等の生活リズムを外部に求めないで済む

日本型の労働環境は、評価制の問題もあるため、従業員同士の深いコミュニケーションがベースとなっています。その中では、社内でしか有効ではない会話があるので、その秘匿性を守る意味で、鍵のある独自の個室は必要となります。つまり生活の一部に、ビジネス空間を一つ持つということです。

現在の通信手段はモバイルだけでは、まだまだ対応が充分ではありません。クラウドソーシングが代表例のように、社会の企業側でシステムを準備すると、そのツールを利用する意味では、同時にクライアント側、つまりパソコン等のスキルや性能も高くないと対応できづらいことになります。この強化は、転職でもいずれ役に立つはずです。

生活というのは衣食住のことを指すので、食は極めて基盤として重要です。一人世帯の場合でも、食事をプライベート時間に組み入れると、それにはコストと移動時間も制限を受けることになります。つまり食は近場が良く、更に言えば自宅に常に準備してある方が有利となります。多くの職場で、休憩時間がそのまま食事時間と重なっているように、この食事時間を自分で管理することは、社会がテレワークに移行しても、労働時間を自宅内で自己完結刷ることに繋がります。



まとめ

  • 社会の整備が進むまでは、通勤時間は平均移動時間を超えないこと
  • 移動距離を出来るだけ短くした中で、自由行動の範囲を低コストで広げること
  • 生活と労働が自己完結できるそれぞれ役割の違った、隔離環境を整備する

以上が今回のまとめになりますが、これによって最初に行動するのは、住居確保における条件と合わせて考えるのが良いとなります。住まいと労働を切り分けるのは、結果的にそれぞれに不必要な負荷を与え、非効率な働き方となるのです。これからの時代、人件費抑制に社会が動く中で、効率的な労働を求められた時に、より柔軟に対応できることが労働者にとって有効なのはいうまでもないでしょう。