騙されると信じる。 この2つの違いを皆さんはおわかりでしょうか。 平成のはじめに起きた一連のオウム真理教の事件以来、日本人は進行というものに対してトラウマを負ってしまいました。

何かしらの宗教を熱心に信じている人にとって、日本はとても住みにくい国です。 宗教というものに対し、多くの日本人は何か不気味なものを感じてしまいます。

10月9日(金)より芦田愛菜さん主演で公開される映画「星の子」は、日本で新興宗教を信じる一家がどのように生活をしているのかを描いた作品です。 身内が宗教に目覚めたら?友達が実は宗教家だったら?恋人や婚約者が打ち明けてきたら? 今作ではとある宗教一家の次女(中学生)の学校生活を中心に、様々なシチュエーションが出てきており、大変参考になる作品です。

今回は映画「星の子」の内容を原作に触れつつご紹介していきたいと思います。

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「星の子」あらすじ

 

 

主人公、林ちひろは幼児期身体が弱かった。 未熟児で生まれ、3ヶ月近くを保育器のなかで過ごしやっと退院したと思ったら、熱や湿疹、中耳炎といろいろな病気をやった。 両親はいたく心配し、医者から進められた薬から民間療法までありとあらゆるものをちひろに試したが実らない。 生まれたての赤ん坊が次々に病気にかかるというのは両親にとって絶望的なのである。

そんな時にちひろの父が会社の同僚からある水を勧められる。 「金星のめぐみ」というその水は、ある特殊な方法で清められた水であり、病気や肩こりなどあらゆるものに対し効用があるという。 両親は藁にもすがる思いでこの水でちひろを洗うようにした。

水を変えて2ヶ月、なんとちひろの体調はみるみるうちに良くなった。 湿疹は消え、かゆみにむずがることもなくなり、夜泣きの頻度は明らかに減っていった。 そしてこの事をきっかけに両親はすっかりこの「金星のめぐみ」の効用を信じ込んだのである。

以来子供の風呂だけでなく、自分たちが飲む水や料理に使う水を変えた。 「金星のめぐみ」を扱う会社は水だけでなく野菜やお菓子、更には衣料品や家具なんかも取り扱っていた。 母親は水だけに飽き足らず、食料もこの会社から買うようにし、林一家はこの宗教にどっぷり浸かっていった

それから数年、ちひろは中学生になり彼女自身もこの宗教の集まりに顔を出すようになっている。 学校の友達や周りの大人からは気味が悪いというような視線を向けられることもあったが、ちひろはそれほど気にしていない。 教会でのイベントへ行けば同じ宗教の友達はたくさんいたし、楽しかった。

物心ついた頃には両親が「金星のめぐみ」にどっぷりはまっていたため、ちひろにとってこの宗教は当たり前のものだった。 しかし一方ちひろが成長していくにしたがい、この宗教を否定したり気味悪がったりする大人たちと出会っていくことになる。

特定の信仰を持たない人たちがちひろにむかって口々に言う「騙されてる」とは一体どういうことなのか。 自分の家族が信じる宗教がマイナーなものだと徐々に気づいていくちひろはどのような選択をし成長していくのか。 宗教一家で育まれた子供が少し大人になるまでの物語。

予告編はこちらから。

©2020「星の子」製作委員会

↑主演の芦田愛菜さんのコメントも観る事ができます。  



「星の子」登場人物紹介

「星の子」の登場人物をご紹介します。 映画でのキャストがわかっている人に関しては、横に括弧で記しています。

林ちひろ(芦田愛菜さん)

本作の主人公。 物心ついた頃には「金星のめぐみ」に囲まれており、両親の信仰について特に疑問は持っていない。 学校の友達は少ないが、宗教の集まりに大人子供問わずたくさんの友達がいて満足している。 中学3年生の時に赴任してきた数学教師の南先生のことが好きで、数学の授業中にはいつも彼の似顔絵を描いている。 しかしとある事件で南先生に手痛い仕打ちを受け、失恋してしまう。 そしてその失恋をきっかけに自分の一家にもその外側の世界にも少し違和感を感じるようになる。

林慎吾(永瀬正敏)

ちひろの父。 幼児期のちひろを救った「金星のめぐみ」を信じ切っており、熱心な信者になった。 もともとは保険会社に努めていたが退職し、教会に勧められた会社へと転職する。 兄の雄三からは宗教から身を引くように注意を受けている。

ちひろの母(原田知世)

慎吾と同様「金星のめぐみ」にちひろを救ってもらったと思っている。 宗教をやめるよう説得に来る雄三へも「金星のめぐみ」を勧める。

まーちゃん(蒔田彩珠)

ちひろの姉。 ちひろの病が治って以来だんだんと変わっていく家族に違和感を持っていた。 幼少期には教会での集まりにも参加していたが、成長するにつれて顔を出さなくなる。 反抗期にはグレはじめて外出がちになり、高校生の時ついに学校をやめて家を出ていってしまう。

雄三おじさん(大友康平)

慎吾の兄。 「金星のめぐみ」を不気味な宗教に思っており、林家が抜け出すように必死に説得している。 林家の「金星のめぐみ」を普通の水を入れ替えて、効果がないことを証明しようとしたが林家の猛反発をくらい、両親の説得は諦める。 せめて子供だけでも「普通」の家庭で生活させたいと思っており、ちひろを自分の家に引き取ろうとする。

落合さん(池内万作)

最初に慎吾へ「金星のめぐみ」を勧めた男性。 妻と子供と3人ぐらしで、妻も「金星のめぐみ」の信者である。 林家とは親交があり、ちょくちょく自宅に招いては新しい水の利用法や商品を紹介している。 いつも上等なお菓子を子どもたちに出してくれるので、ちひろは大変なついている。 しかしまーちゃんはこの一家に不気味なものを感じており、ここで出されるものには手を付けることが出来ない。

なべちゃん

ちひろが小学4年生の時に転校してきた女の子。 ちひろとは概ね仲が良い。数少ない友達。 思ったことをズバズバ言う性格で、意地の悪いところもあるがちひろがつらそうにしているときには支えてくれるいい友達。

南先生(岡田将生)

ちひろが中学3年生の時に赴任してきた数学教師。 若くかっこいい先生で女子生徒の人気も高い。 ちひろも彼に恋をする。 新興宗教を不気味なものとして切り捨ててしまう感性をもっており、それがためにある時知らずしらずの内にちひろに手痛い仕打ちをしてしまう。

春ちゃん

「金星のめぐみ」信者一家の娘。 よく教会のイベントにも参加しており、ちひろとも交友がある。 小学生の時には引っ込み思案であまり周りと話そうとしなかったが、ある映画を見たことで性格がガラリと変わっていく。 中学生の時、彼氏を教会の合宿につれてくる。

海路さん(高良健吾)、昇子さん(黒木華)

「金星のめぐみ」の大学生信者。 ふたりとも熱心な信者で、子どもたちにとても慕われている。 信者の中でもグレードの高い位置にいるらしく、超常的な能力を有していると信じられている。



「星の子」ネタバレ感想

両親の信仰に特に疑問を感じていなかったちひろが、世間とのズレを決定的に知るようになる出来事が中学3年生の時に起こります。

なべちゃん、新村と一緒にクラスの卒業文集をまとめる作業をしていたちひろは下校時間がすっかり遅くなってしまいます。 そして夜も遅いので南先生が来るまで送ってくれることになるんです。

ちひろの家の近くまで来た時、南先生が公園である夫婦を見かけます。 その夫婦はお互いにペットボトルの水をかけ合っていました。 「変なのが2匹いる」といって南先生が警戒していたその夫婦は、実は千尋の両親なのです。 ちひろはそのことも言い出せず、車を降りて帰宅しますが深く傷ついてしまいます。

宗教一家で育ったこどもが世間から向けられる奇異の目や、バッシングが随所で登場する本作ですが救いもあります。

春ちゃんが教会につれてきた彼氏は派手な見た目で一見、宗教に対して悪いことを言ってしまいそうな雰囲気がありました。 合宿恒例の『宣誓の時間』にてくじで選ばれたその彼氏が信者たちの前で何を宣誓するのか、言ってしまうのかは中々ハラハラする場面です。

南先生から手痛い仕打ちを受け、雄三おじさんからは両親から引き離されようとされ、不安定な状態のちひろが、これ以上教会外の人からどんな発言を聞いてしまうのか。 しかし春ちゃんの彼氏が言った言葉は今作最大の救いでした。

「ぼくは、ぼくの好きな人が信じているものを、一緒に信じたいです。・・・それがどんなものなのかまだ全然わからないけど。ここに来ればわかるっていうんなら、おれは来年もここにきます。」

「金星のめぐみ」を信じることが各人にとって良いことなのか、悪いことなのかはわかりません。 しかし信じた者にとってはそれが本当だし、信じている限りは救われているのです。

ちひろや春ちゃん、春ちゃんの彼氏と前途のある子どもたちがこの宗教を信仰し続けることが彼らの人生を豊かにしてくれるかどうかもわかりません。 しかし決めるのは彼ら自身です。

ただ一つだけ言えるのは愛する人の信じる宗教に対し理解を示すことはとても大切だということです。 「金星のめぐみ」という信仰が生きる上で障害になってしまう可能性はありますが、その分本人たちには信仰による救いがあるのです。 今の自分に理解が出来ないからと言って不気味だと切り捨ててしまうのではなく、一体彼らが何を信じているのか、何故信じるようになったのかを理解しようとすることが愛なのではないでしょうか。 この作品の示す答えの一つはそういうことなんじゃないかと私は思います。



「星の子」解釈の分かれる結末

高校進学を控え、雄三おじさんから「家を出て私のところで暮らさないか」という提案を受けたちひろがどんな決断をするのか結局明示されないまま物語は終わります

作中ほのめかされた「金星のめぐみ」の悪質な側面も、本当なのかどうかも明示されません。

あらゆる疑問に答えを明示しないままこの作品は終わり、読者の心に疑問が残り続けます。 そこがこの作品のいいところ。

身近な人との信仰の齟齬という解決するのが難しい問題には答えは存在しません。 ただ真っ向から否定するのではなく、自分にも相手にも疑問を持ち続けることが理解への第一歩です。

決してフィクションとは言い切れない出来事を扱った本作。 絶対ためになると思いますので是非、原作を読んで映画を観てください。

 

 

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