メタボ

我が家の両親が実際にそうなのですが、メタボリックや肥満、基礎疾患があると、健康的な睡眠が出来なくなる場合が多いです。医学的というよりも、そもそもが寝にくい体、体質になるということを今回は詳しく解説します。現代人は必見です。





肥満がすべての元凶?

まず肥満そのものは、男性よりも女性の方が”耐性が強い”と言われています。つまり皮下脂肪、内臓脂肪ともに男性よりも抱える率が高いのですが、男性に比べて肥満が原因で高血圧などの循環器系疾患は少ないと言われているんですね。

生命保険会社の調査によれば、20歳以上で肥満の割合は男性33.0%、女性22.3%、男性では40歳代が39.7%と最も高く、次いで50歳代が39.2%で、女性の高齢者の場合の方が、肥満傾向が強いことがこれでわかります。

今回は睡眠の解説なので、肥満については詳しく解説しませんが、一方で、高齢者の不眠症の割合は高く、民間の調査では60歳以上は3人に1人の割合で、なんらかの睡眠障害を抱えています。肥満の第一の要因は、偏食と運動不足ですが、日本では中高年以降から、特に食生活と運動については、問題が多いと言われています。

今回は、食生活と睡眠の関係について解説しましょう。



太るのは単なる食べ過ぎではありません

バーガーセット

肥満と耳にすると、どうしても「食べすぎ」がまず頭に浮かびますが、長年、肥満の高齢者である我が家の両親を身近で観察すると、必ずしもそうではないと言えます。ただ、非常に特徴的なのが、食事のバランスにかなり偏りが見えることです。それはとにかく「ご飯」が多いことです。

消化にかかる時間は、平均では胃の中で約3~5時間、小腸の中で約5~8時間で、睡眠中よりも日中の代謝が活発な時間の方が、消化吸収が進みます。果物は約40分、野菜は約2時間と、この2つの食材は消化吸収が早いので、野菜や果物といった脂質が少なく、またビタミンも多い食べ物は、食物繊維と共に、排泄も他の食材よりはスムーズに早く、カロリーも低いのです。

睡眠中は、体の深部体温は手足の表面の温度よりも低いとよく眠れることが知られています。つまり、野菜や果物等は、上手に昼間の間に食べておいて、運動と共に消化吸収が進んでいいれば、結果として代謝が下がる睡眠中は内臓の活動を低く抑えられます。

ところが、ご飯などの炭水化物は約8時間、お肉は約12~24時間かかるので、例えば夕方6時に夕食で食べたとしても、この食材の場合は、睡眠中でも内臓は消化に時間がかかっているということになります。つまり、昼間に近い活発な代謝で、体の深部体温は手足よりも高いのです。

実際、我が家の両親も”おかずは少なく、ご飯を大量に食べる”という具合なので、夫婦2人で3合のお米を炊いて、夕飯と朝食、更にはお昼まで続けて平らげてしまいます。

本人たちは1回の食事で、お茶碗一杯のご飯のつもりでも、1日で約一人1.5合のご飯を食べているわけで、それに運動不足が加わって、特に母親は超肥満です。しかも夜中に何度もトイレで起きるようです。たくさんの白飯を食べるために、塩分の濃いおかずもよく食べるため、結果的におしっこがよく出るのでしょうね。



消化吸収に時間がかかり過ぎると寝不足に

おいしそうなピザ

また肥満は上記の様に、ただ太っているだけではなく、内臓脂肪で余計に胃腸を脂肪で常に圧迫しています。その結果、かなりの量を食べないと太った体型を支えるカロリーが不足する上に、一度にたくさんの炭水化物を食べられません。炭水化物は消化吸収の段階で、糖質となって体を支える”力の源”になります。

つまり、「たくさん食べたくても胃腸のスペースが狭くて食べられない」、「一回の量では足りないから、1日に小分けして結果多く食べる」という悪循環をしているわけです。要するに昼夜問わず、体の中では消化に忙しくて休む暇がないというわけですね。

特にカロリー代謝が激しい人ほど、疲労も溜まりやすく、その回復にはタンパク質と炭水化物を必要とします。結果、肥満の人は疲れやすく、また頻繁によく食べ、食事量は1回では普通量でも足りず、消化吸収効率が悪いという流れになりやすいのです。

誰でもドカ食いすると、一気に体がポカポカする事がありますよね。しかし肥満の人はそもそもが、深部体温が体の表面に出にくい”放熱しづらい体質”のため、就寝する時間でも体温がなかなか下がりません。ずっとポカポカ状態のままなんですね。

我が家では、更に1日おきにお風呂に長く浸かる習慣が両親にあるので、そもそも「寝られない習慣」のまま生活していることになります。一緒に生活している身としては、高齢でも多少のダイエットや運動を勧めたいところですが、動くと余計にお腹が減るというので、習慣はなかなか変えられないようです。



昼間あまり動かないなら、余計に食べるな

眠る赤ちゃん

以上で、肥満は睡眠障害になりやすい理由が、よくわかって頂けると思います。代謝というのは、消化や排泄、摂取したカロリーやビタミンを使って、”日中の活動を活発にするためのもの”です。したがって、夜グッスリ眠るためには、夜間のこうした代謝機能は出来るだけ落としておかないと、寝付けないのは当然なのです。

更には、我が家の両親は片方は糖尿病2型、片方は慢性疾患(循環器系)なので、両方とも血流や血圧が健康的な人に比べて良くないのです。しかも、食べすぎているようには一見、見えないので、どうしてもこの睡眠不足は、肥満や基礎疾患のせいだとは思ってくれません。

母親は特に深夜に6回はトイレで起きるので、あまり寝ていないだろうことは容易に想像できます。また疲れやすいので、「低血糖になっちゃう」と間食でおやつを食べているほどです。こうならないように、中高年の方は、しっかりと野菜や果物などの割合を高くし、炭水化物やタンパク質ばかりに頼る食生活は避けて頂きたいものです。



まとめ

医学の分野でも、ようやく肥満症と睡眠障害、循環器系の基礎疾患と睡眠との関連性において、データが蓄積され、やはり我が家のような生活パターンは、不健康なことは間違いないと裏付けられるようになりました。昔の人は、白飯に対しての執着が若い人よりも強いと言われます。しかしながら、便利な家電、自宅にいながら娯楽はいくらでも楽しめる時代、食べるだけが増えて、運動が少ないのは良くないでしょう。

肥満は万病の元と言われますが、睡眠障害の温床でもあります。今回は、現代人に警鐘を鳴らす意味で、肥満と基礎疾患と寝不足、睡眠障害について解説しました。